第18回耳鼻咽喉科情報処理研究会
2002年7月


特 別 講 演


ORCAの開発状況
 上野智明
(日本医師会総合政策研究機構)

 日本医師会では2001年11月に「日医IT化宣言」を行なった。この宣言は、日本医師会が、医療用プログラムやデータベースのオープンソース化を梃子に、医療現場のIT化の土台となるネットワーク作りを始める、というものであった。これを実現するツールの1つがORCAプロジェクト(Online Receipt Computer Advantage)である。ORCAプロジェクトでは、このIT化精神に則り、2002年2月に第一弾として、無床診療所向けレセプトプログラム(日医標準レセプトソフト)をオープンソースとして公開した。

 この日医標準レセプトソフトは OS に Debian GNU Linux を採用し、新技術として MONTSUQI (MONitor of Transaction Service, with Utility Queue Interface) という トランザクションモニタを使用した。これは端末とホストという、従来の大型コンピュータのオンライン業務と同一のモデルを Linux 上で実現し、業務アプリケーションの開発を容易にするとともに医療機関の規模によるスケーラビリティを吸収するものである。今年度は、この MONTSUQI の機能拡張として、HTMLインターフェース、CLAIMインターフェース、JAVAインターフェースなどを予定している。

 日医標準レセプトソフトの業務アプリケーション部分は MONTSUQI の COBOL API を使って COBOL 言語で書かれた。コンパイラには開発スタート時より dot COBOL という市販のものを利用していたが、オープンな環境へのこだわりから、現在は Open COBOL というフリーのコンパイラを利用している。これは tiny COBOL という従前からあったフリーのコボルコンパイラを我々の開発チームの一人がブランチさせ、機能拡張したものである。データベースに関しても同様に、当初 Oracle を利用していたものを昨年度、フリーのPostgreSQL に切り替えた。

 こういったオープン環境へのこだわりの一つに、ORCAプロジェクトの成果物は「公開財」であるとの考え方がある。公共投資の結果 広く利用される「公共財」に対して、私的投資で医療という半公共的なインフラを支える意味の造語である。医療は国民に必要不可欠なもの、医療機関は消防署のように町になくてはならないものであり、これからのIT時代の医療のインフラが企業原理により左右されてはならない、という考え方である。

 同様に我々は、医療のIT化の基本となるデータベースのパブリックドメイン化も主張している。例えば、薬の添付文書のようにどの医師、医療機関でも必要なデータベースこそ、電子カルテの普及などより先に整備し、解放するべきものと考える。

 ORCAプロジェクトでのネットワークの基本概念には IPv6 を採用した。つまり、日医標準レセプトソフト等の病院や診療所への普及が、そのまま、共通 のインフラを持った IPv6 端末の普及になるという考え方である。この結果が、地域の医療情報システムの構築時にも役に立てば幸いである。

 大抵の医療行為は地域内で閉じていると思われる。病診連携の言葉どおり、peer to peer でセキュアに医療機関同士がコミュニケーションできれば、大規模かつコストのかかる「1患者1カルテ」のセンター構想は必要ないかもしれない、とこのプロジェクトでは考えている。

 最後に、2002年度に本プロジェクトで開発し公開を予定している主なアプリケーションは、労災レセプト対応(6月)、入院レセプト対応(9月)、電子カルテ開発キット(9月)、介護保険対応(2月)、提供データベースとして併用禁忌マスタ(6月)である。我々は全国の医療関係者と医療情報産業にこれらのソフトウェアを存分に利用し、また発展させて欲しいと切に願う。

(http://www.orca.med.or.jp/)


一 般 演 題


1. 複合振幅変調音刺激法による聴性定常反応(AMFR)を用いた乳幼児聴力検査システム
鈴木 豊、大竹祐輔、渡邊知緒、伊藤 吏、岡崎慎一、青柳 優
(山形大学医学部耳鼻咽喉科)
布施健生
(東北中央病院)

 われわれはすでに振幅変調音を用いた聴性定常反応である変調周波数追随反応(AMFR)による検査システムを構築し、乳幼児における他覚的聴力検査に応用しているが、正確な聴力レベルおよび聴力像の推定が可能である反面 、1つの周波数として閾値測定するためには長時間を要する欠点があった。

 AMFRの検査時間の短縮に関しては、電位の測定時間を可変にして反応が得られた時点で測定を終了するなどの検査の効率化を図る一方で、(1)反応をより高い感度で検出可能な解析法を開発する、(2)より高振幅が得られる刺激音を用いる、(3)複数の刺激音を同時に用い一度にAMFRの閾値判定を行うなどの検査の手法自体の改良があげられる。

 Linsら(1994)はAMFRの測定に複数の振幅変調音を刺激刺激音として同時に用いる複合振幅変調音刺激法(multiple simultaneous stimulation)による検査時間の短縮を図った検査システムを報告したが、複数の刺激音を同時に用いることで生じる個々の周波数での反応閾値の変動についての詳細な検討はされていなかった。

 われわれは、上記の問題点の基礎的な検討の上に複合振幅変調音刺激法によるAMFRを用いた他覚的聴力検査システムの実用化のため、複数の刺激信号に対してソフトウエア上で各刺激信号それぞれにトリガーをかけて解析波形を収録するmultiple trigger techniqueを考案し、それに基づくシステムによる検査結果の信頼性について検討を正常成人を対象について報告した。

 現在パーソナルコンピュータベースで可動するソフトウエアを用いて乳幼児聴力検査を施行し、その結果 を従来の方法と比較検討をおこなうとともに、ノートパソコンとの組み合わせで可動するハードウエアシステムの試作器を開発中であり、現況について報告する。


2. 発声機能検査法ボイスプロファイルプログラムMODEL-SK99
大山 玄
(脳機能研究所)

 ボイスプロファイルプログラム MODEL-SK99 は九州大学医学部耳鼻咽喉科学教室の小宮山教授によって開発された発声機能検査装置である。このシステムは永島社製発声機能検査装置 PS77E と組み合わせて用いるものである。これまでの発声機能検査装置は単純に時間毎の値を画面 又は紙に表示するだけであった。そのため、各パラメータの関係とか、治療前後の比較は困難であった。この装置ではパソコンを用いて各種パラメータを簡単に2次元で表示できるものである。いわばオージオグラムの様に、発声にかかわる各種パラメータの関係が一目でわかり、臨床に大変役に立つ装置である。又、検査値をファイルに保存できるので、2つの異なる条件、例えば治療前と治療後、又は時期の異なる検査結果 を1画面に同時に表示することにより、治療の効果、疾患の状態の変化を一目で把握できることが特徴である。測定できる項目は強度、基本周波数、呼気流率の3項目である。

 表示形式には Phonogram 画面、MULTI-VIEW 画面、OVERVIEW 画面、Time Waveform 画面の様々な画面表示が可能である。目的に応じた様々な形式の2つのパラメータの組み合わせによる2次元表示が可能である。表示の色を変えて測定日の異なる検査結果 を1つの画面に表示できる。この表示は発声の不安定な起声時と終声時を除いた定常部のみを表示する。さらに、2つのパラメータ間の回帰曲線当てはめ、包絡線表示等も可能である。

 Phonogram 画面では1画面に1種類の表示、例えば横軸に基本周波数、縦軸に強度を、又は横軸に呼気流率、縦軸に強度等を表示することが出来、2つのパラメータの間の関係を把握することが出来る。2つのパラメータは自由に組み合わせることが出来る。この表示は様々なオプションが設定できる。例えば Phonogram のみ、Phonogram と Envelope、Envelope のみ、頻度分布、Section 表示、Minimum Flow Rate 表示等である。MULTI-VIEW 画面では6個の様々な形式の表示を一度に表示できる。この組み合わせは自由に設定できる。OVERVIEW 画面では15種類の表示を表示する。この場合は内部で固定されているので表示の種類を変更することはできない。Time Waveform 画面は各パラメータの時間変化の波形表示である。基本周波数、強度、呼気流率の時間変化を表示できる。またカーソルで任意の時刻における値を表示でき、2つのカーソルの時刻における値の差の絶対値を表示することが出来る。更に2つのカーソル間の最大、最小、平均、分散等の簡単な統計量 も計算できる。これらの表示画面では表示の色を変えて2種類のデータを同時に表示できる。又、表示の縦横を取り替えた OVERVIEW 画面と同様な画面を印刷できる。この場合は各強度、基本周波数と最小呼気流率の値を数値で表にして表示することが可能である。

 この装置は基本的に発声障害を検査するためのものであるが、使い方によっては発声機能障害の評価みならず、例えば口蓋裂のような発話機能障害の評価にも使用できる可能性がある。さらに、臨床目的ばかりでなく、例えば日本語と中国語、韓国語の発声発話の相違のような音声学的研究にも利用できる可能性がある。


3. パーソナルコンピュータ上で行う 3D リアルタイムボリュームレンダリング
加納 滋
(加納耳鼻咽喉科医院、富山県)
友田幸一
(金沢医科大学耳鼻咽喉科)

 3次元表示は、コンピュータには負担の大きい処理の一つであり、飛躍的な進歩を遂げているパーソナルコンピュータといえどもかなり荷が重いのが現状である。表面 のみの処理を行うsurface rendering はまだ軽い方であるが、内部データの処理を含む volume rendering の場合には、実用的と言える処理はできなかった。

 しかしながら、画像処理専用チップの開発と高速アルゴリズムにより、パーソナルコンピュータ上で volume rendering をリアルタイムに行うことが可能となった。

 昨年9月より学会で発表したビデオをもとに、現在どの程度まで表示が可能になっているかをビデオにて供覧する。


4. ゼロ交差点法による視運動眼振の定量解析
中川雅文
(東京臨海病院耳鼻咽喉科、東京工業大学大学院社会理工学研究科)
福島省吾、村上宗司
(松下電工(株)先行技術研究所)
中原凱文
(東京工業大学大学院社会理工学研究科)
湯浅貴文
(東京臨海病院耳鼻咽喉科)

 今回われわれは、電気眼振図の診断が時系列上の眼振出現リズムや個々の眼振波形からなされていることに注目し、眼振のリズム解析を用いることで冗長な時系列情報の符号化とそれらの臨床医学的分類の可能性について考察した。

【対象】OKN のトリガ信号、健常者 OKN 時の ENG 原波形、右向眼振患者OKN 時の ENG 原波形

【方法】眼振と眼振の間隔で定義される拍合、眼振リズムを瞬時周波数としてゼロ交差点法により求め、瞬時周波数のパワースペクトラム密度分布(PSD)を求めた。 PSD の傾き(Spectrum Slope Value: SSV)を求めることで、眼振リズムを定量的に評価した。以上の一連の解析は(株)脳機能研究所製 EEG-Expert (ver.4.81) にておこなった。

【結果】トリガのリズム特性はSSV=1.663 と同期性が高いことを確認した(図1)。 健常者のSSV 値は1.00 程度で1/f ゆらぎを示した(図2)。右自発眼振例の SSV 値は、0.062 と白色ゆらぎを示した(図3)。

図1:トリガ
図2:健常成人
図3:右自発眼振例

【結語】眼振のリズム特性を評価することで眼振の臨床医学的定量評価を行える可能性がある。


5. 脳波を用いた感性解析と高次脳機能評価システム
大山 玄
(脳機能研究所)

 我々はパソコンを用いた脳波測定解析システムを開発した。この装置を用いた様々な応用例について述べる。ひとつは感性解析で他のひとつは高次脳機能評価である。このシステムはNF社製脳波計とパソコンより構成される。又ネットワークを用いれば、遠隔医療への応用も可能である。

 これまでは感情は定性的にしかとらえられなかったが、本システムにより定量的に評価することができる。データ収録時は脳波の波形を表示に、特定の電極におけるパワースペクトルの時間変化を表示出来る。又全電極のα波、β波、θ波のパワー分布を2次元頭部模式図上にリアルタイムで表示することが出来る。脳波はファイルに収納出来る。ファイルヘッダーには各種実験条件、各種フィルターの設定、被験者情報等が書き込まれている。更に喜怒哀楽の強さをリアルタイムで表示出来る。又刺激又は条件を換えた場合にその時刻を記録するためのイベントマークを入力することが出来る。脳波の表示は任意の電極を選択すること可能である。各種の解析条件設定し、喜怒哀楽の4感情の強さの時間変化を表示する。表示形式は単なる棒グラフ、それを滑らかに線で結んだ表示等が可能である。この表示ではイベントマークが同時に表示されているので、異なる刺激における感情を検討出来る。又脳波から任意の電極を選んで集中度、覚醒度等を推定し同じ画面 に表示できるので色々な検討が可能である。又各イベントにおける平均値を数字化して表示できる。このシステムでは標準として喜怒哀楽の4種のデータベースを設定しているが、例えば4種類でなく、好き、嫌いのような2種類の感性での解析を行いたい場合はそれにも対応できるよう、自由に感性を設定できる特徴がある。更に任意の電極におけるパワースペクトルの詳細を表示する事ができる。この表示方法では軸をリニア、対数どちらででも表示可能である。任意の電極におけるパワースペクトルの時間変化、更にα波、β波、θ波のパワー分布の時間変化も表示することが可能である。

 高次脳機能解析は脳におけるニューロン活動の状況の場所的、時間的な滑らかさを評価するシステムである。この応用としては痴呆症特にアルツハイマーの診断補助が考えられる。具体的には、α波成分を取り出し、これを基にしてダイポール解析を行い、そのダイポールから得られる頭皮での脳波と実測された脳波との誤差を求める。その誤差の場所的な相違は正常者の場合は少ないが、疾患者の場合は大きくなる。又その誤差の平均の時間変化が正常者の場合はすくなく、疾患者の場合は大きくなる。これらの2つの指標をもとにして評価をおこなう。このシステムでは脳波の表示の方法は任意の電極における脳波を別 々に表示することも、重ね書きすることも可能である。更に各電極における脳波のパワースペクトルを2次元頭部模式図に表示出来る。更にパワースペクトル画面 で任意の周波数帯域をマウスで指定することにより帯域通過フィルターをかけることが可能である。ダイポール解析は脳波の任意の時刻での解析が可能である。ダイポールの位 置とその大きさは頭頂、後頭、側頭から見た場合の3種類の表示を同時に表示する。更に実測とダイポールから求めた脳波との誤差の時間変化が表示出来る。α、β、θ波等5帯域の強度分布も表示できる。又、瞬間的な電位 分布を2次元、3次元頭部模式図に滑らかに表示出来る。


6. Windows搭載ノートパソコンによるアナログ情報処理
渡辺行雄、武田精一
(富山医科薬科大学耳鼻咽喉科)

 私達はこれまでWindows搭載パソコンによるアナログ情報処理を試み、眼運動など200Hz程度の比較的低速な現象から、前庭誘発筋電位 (VEMP)、聴性誘発反応など100kHzまでの高速現象処理が可能となったことを報告してきた。

 これらの処理はディスクトップパソコンにより行われたものであるが、今回、ノートパソコン(SONY PCG-FX55S)で同じ処理を行った経験を報告する。OSの動作はディスクトップとノートで基本的に異なるものではないが、ノートではアナログ情報処理で使用するAD/DA変換機、外部リアルタイムクロックなどの周辺機器の制限があり、ディスクトップでの処理法をそのまま移植することが困難な場合がある。

 使用したAD/DA変換機はナショナルインスツルメンツ社製DAQ6024E(PCMCIAカード)で、この装置は100kHzまでのAD変換機能、最大クロック分解能50nsecと高機能であるが、クロック割り込みとAD変換を同期的に行うことができない問題点がある。今回はこれを使用してVEMP検査システムを構築した経験から、Windows搭載ノートパソコンでのアナログ情報処理の実際と問題点について報告する。


7. 直線加速度刺激負荷VEMP実験のコンピュータシステム
渡辺行雄、将積日出夫、武田精一
(富山医科薬科大学耳鼻咽喉科)

 私達は宇宙環境利用地上研究(宇宙フォーラム)として、直線加速刺激を負荷した際の前庭誘発筋電位 (VEMP)を記録し、球形嚢に対する直線加速度の影響を観察する実験を実施中である。この加速度装置は名古屋大学環境研究所内に設置され、超伝導磁場によりスレッドを浮上させ、約10mの直線で最大0.5Gの直線加速度を負荷することができる。

 この装置では、制御室からスレッド内へ信号線が接続されており、制御室で発生した音刺激をスレッド内の被験者に与え、スレッド内の筋電計出力を制御室内のコンピュータで処理することが可能である。しかし、実際には雑音レベルが高く加速中の筋電図を良好に記録できなかった。このため、スレッド内で直接筋電計と接続する記録用パソコンを設置し、雑音の軽減を図る実験システムを構築した。

 このシステムでは、制御室内のパソコンで発生した音刺激に同期してスレッド内の記録用パソコンを制御しVEMP処理を行う。また、スレッド内パソコンの動作状況は常に制御室内で観察を可能なようにした。今回は、パソコンによるアナログ情報処理の有機的活用例としてこの実験システムを供覧する。


8. 耳科手術対応手術ナビゲーションシステムの使用経験
中川雅文、湯浅貴文
(日本私立学校振興・共済事業団 東京臨海病院耳鼻咽喉科)

 東京臨海病院は、完全ペーパーレスの電子カルテを導入し平成14年4月に開院した。手術室でのCT画像はネットワーク下に手術室のモニター下で供覧することになったが、清潔作業下でのモニター操作は術中の煩雑さを求めるしモニター画面 数の制約もあり微細な耳鼻科手術での画像判読には不便な点が少なくない。当院ではこの問題を解決する環境整備の一環としてメドトロニック製スティルスステーション・トレロンを導入した。本機は鼻科、耳科ともに適応をもつ装置である。従来、耳科手術では脳外科用デバイスの使用を余儀なくされ大きな皮切を要したが、耳科用に新規開発された専用ポストの開発で清潔かつ低侵襲にフレーム固定を可能とし、鼻科のみならず耳科への適応拡大を実現している。

 本装置を導入したことで耳科・鼻科領域の術中に極めて容易に画像所見の確認 が出来る環境がとより安全な手術環境の整備が実現した。今回若干例であるが本装置の使用経験(利点と欠点)と電子カルテ時代における手術ナビゲーションシ ステムの必要性・重要性について報告する。

【写真】外表からの小さなカットダウンでフレーム固定部分を確保できる
【写真】術中風景:正面 のモニターあるいは顕微鏡の視野内で画像確認可能


9. UMIN演題登録を活用した学会運営プログラムの作成
青木和博
(東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科)

 現在 UMIN(University hospital Medical Information Network)を利用したインタ−ネット上での演題受付が各学会で活用されつつあります。このシステムは各学会で登録用のフォ−マットを一定にすることで継続して使用することを目的とし、改善を重ねることでより完成度の高い登録フォーマットを作成して使用することが出来ます。また、一定のフォーマットを使用することで、演題のカテゴリー分類も容易となり、学会プログラム作成も簡便となります。今回、第十二回耳科学会の運営にあたり、このUMINを用いた発表演題の募集とそのデジタルデーターを用いた演題分類、学会進行表および抄録集編集用のプログラムを作成したので報告する。

 プログラムはX-base言語を用いて作成し、コンパイル後800KB程度の大きさである。

 プログラムの目的は、UMIN上で登録されたデーターベースを本プログラムで読み込んで、登録内容の二重登録チェック、全演者の会員登録有無のチェックを行った後、登録時に演者が記入した発表形態、カテゴリー1,カテゴリー2に基づいて演題を大まかに分類して群分けする。その後各群の発表内容から最終群分けと座長を決定し、会場設定のプログラムとリンクして会場別 、時間別に進行表を作成する。各内容は適宜紙面に印刷し、抄録集等の資料となる。また、学会当日はスライド・データ受付センターと事務局および各会場をイーサネットで結び、コンピュータープロジェクターで発表する演題についてはそのファイルをデーター受付センターでコピーし、サーバーに保存した後に各会場にLAN上で配信する。事務局では進行表の参照と共に、各関連会議の会議室使用状況の確認、また各会場に設置したWeb Cameraを通して進行状況を把握すると共に、各会場のサイドスライドへの緊急呼び出しスライド(ファイル)の配信を一括管理する。


10. ライブストリ−ミングの実際
武田精一、安田恵子、渡辺行雄
(富山医科薬科大学耳鼻咽喉科)

 ストリーミングはネットワ−ク経由で音声や動画デ−タをダウンロードしながら順次再生することを可能にする配信技術で、一旦サ−バにファイルを保存してから配信する方法は「オンデマンドストリ−ミング」、保存しないでリアルタイムに配信する方法は「ライブストリ−ミング」と呼ばれている。 今回私達は、本学医学部同窓会の総会に於いてライブストリ−ミングを用いたインタ−ネット中継を試みたので、その実際について報告する。

 ストリ−ミング技術は RealNetWorks 社の RealMedia を用いた。配信はエンコ−ド用ソフト(RealProducer)、配信サーバーソフト(RealSystemServer)にて行い、ユーザーは RealPlayer にて受信してもらった。会場内の映像は家庭用ビデオカメラ、音声は会議室のマイクアンプ、各々の出力をパソコン上で実行中の RealProducer にてキャプチャー、エンコ−ドを行った後、別のパソコン上で実行中の RealSystemServer に転送した。ユーザーは RealPlayer からアクセスすると RealSystemServer が各ユーザーへ映像を配信した。これら一連の処理は同時かつ並列に実行されるため、ライブ配信の映像を見ることが可能であった。 また、総会中は同時に別のパソコンにて常時メールチェックを行い、議題に対する会員からの意見や提案などを即座にメールで受けられるようにして、簡易ではあるがインタラクティブな構成とした。

 このようにして従来は専門業者や高額な機材が必要であった映像のライブ中継がパソコンとインターネットにより非常に手軽に行うことが可能であった。 この方法はインターネット経由だけでなく、病院や診療所内などの LAN を利用して行うことも可能であり、画像の閲覧や転送等に様々な応用が期待できると考えられた。


11. PerlによるWebクライアント・プログラミングの実際
今村純一
(今村耳鼻咽喉科医院 松任市)

 今日、Web上には多くの情報が存在し、政府機関など公的組織の提供する情報には、臨床や研究にとってのデータベースとして有用なものも少なくない。 また、今後の日本はIT社会を目指すといわれ、Web上のデータの活用はさらに必要性を増すと考えられる。

 最近では、Webブラウザ上に表示された表からExcelへコピー&ペーストでデータを移すこともでき、単発でデータを取り込むにはそれでも十分といえるが、ダウンロードするファイルが多数あったり、日々更新されるデータに対して、ルーチン・ワークとして、データのダウンロード、分析、加工処理を行う場合は、プログラムによる自動化が必要となってくる。 当科で実用に供している例でいえば、

  1. 「スギ・イネ科花粉飛散グラフ作成システム」
    石川県医師会スギ・イネ科花粉飛散情報HPの花粉飛散個数データをダウンロードし、 グラフ化して、掲載ページにアップロードする(詳細は別 演題で紹介)。
  2. 「『医薬品情報提供HP』医療用医薬品の添付文書情報の一括ダウンロード」 http://www.pharmasys.gr.jp/index.html から、全て(あるいは指定した薬剤リスト)の薬剤添付文書をバッチでダウンロードし、ローカル環境で参照できるようにする。
  3. 「Web版SeaGaiaML記事のログ化」
    http://fc.miyazaki-med.ac.jp/conferences/medical/seagaia/?items で公開されている Web 版の SeaGaiaML の記事をダウンロードし、一定記事毎にまとめて、  HTML 形式のログ・ファイルを生成する。
  4. 「アメダス・データの自動ロギング」
    http://www.wis-x.co.jp/amedasweb/menu.htm から指定しておいた地点のデータをダウンロードし、気象データのロギングを行う。

などが挙げられる。

  これらの開発には Perl (Jperl) を使用したが、多くのプラットフォームに対応した処理系 で、無償で入手でき、ネット関連(LWP、Net::Ftp)、グラフ描画(GD)、などのモジュール(ライブラリ)が揃っており、開発も容易であった。 今回、Perlを使用したWebクライアント・プログラミングの実際の技法について紹介する。

(なお、実際のスクリプトについて、研究会開催前から下記でソースを公開予定です)
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/6670/entis-prog/


12. 新設東海大学医学部付属八王子病院における電子カルテと画像ファイリングシステム
宮本隆行、緒方哲郎
(東海大学医学部付属八王子病院耳鼻咽喉科)
山内一浩
(株式会社スリーゼット)

 電子カルテの耳鼻咽喉科診療における可能性については、その電子カルテ自体が、文字情報をベースとしたシステムであるために、そのカルテの特徴ともいえるシェーマの記載、聴力検査などのカルテ内保管、また最近ではファイバースコープ等の画像所見のカルテ内保管等に不向きであり、議論を呼んでいるところである。

 この度平成14年3月、東海大学では東京都八王子市にほぼすべての院内業務を電子化した500床の付属病院を開設、各科診療においても電子カルテを導入、富士通 株式会社の「HOPE/EGMAIN-EX」が選定された。発表にて詳細を報告するが、このシステムも診療カルテとしては文字情報がメインのものであり、特に耳鼻咽喉科診療においては、外来診療における内視鏡などの画像情報の保存、また術中所見としてのシェーマ、内視鏡、顕微鏡画像の保存、およびこれらの情報と電子カルテとの有機的な連携が、当初よりの重要な課題となった。そこで今回われわれは、株式会社スリーゼットの画像ファイリングシステム「EZCap Personal」を同時に採用し、これを院内LAN経由で電子カルテとリンクさせることによって、電子カルテからファイリングシステム内の画像を参照し、またこれらの画像をコピー&ペーストで電子カルテの所見欄に貼り付けるという運用を可能とした。

写真1:224KBytes
写真2:192KBytes

 特に今回は、電子カルテ下の内視鏡など画像情報の管理と運用を中心として、この複合システムを用いた診療例をご紹介する。


13. 東京都立病院への電子カルテの導入
―経過報告―
岩崎真一、阿部和也
(都立府中病院耳鼻咽喉科)

 東京都は現在、府中・駒込・墨東・大塚・広尾の5つの都立病院に、同一のオーダリングシステムおよびいわゆる「電子カルテ」を導入する計画を立て、その準備に取りかかっている。都立府中病院を第1モデル病院(2003年度当初導入)、都立駒込病院を第2モデル病院(2003年度末導入)とし、全病院共通 ID、カルテ相互参照可能、共通マスタというシステムである。導入に成功すれば、複数の大規模病院をオンラインで結ぶ初のシステムになる。そればかりか、府中・駒込病院への導入自体が、稼働中の大規模病院への「電子カルテ」全面 的導入という前例のない事業である。

 現在までの導入の経過を報告すると同時に、採用されたシステムである富士通製のEGMAIN EXの機能と特徴についても併せて報告する。また、電子カルテのテンプレート作成にあたり、ガイドラインの必要性を提起する。


14. 鶴岡地区における電子カルテ(1地域/1患者/1カルテ)システムについて
本田 学、三原一郎
(山形県鶴岡市)

 経済産業省の“先進的IT活用による、医療を中心としたネットワーク化推進事業”による、鶴岡地区における電子カルテシステム;Net4U(the New e-teamwork by 4 unitsの略)の実証実験が平成14年1月から3月に行われました。

 このシステムは、地域医療機関や福祉施設の間のネットワークを使い、電子カルテで診療情報を共有し、医療情報としての電子カルテを共有するシステムです。このカルテの共有システムとは、病院の1患者1カルテシステムと同じシステムで、サーバーにカルテを置くことにより、1患者1カルテシステムを地区全体に広げた様なものです(当地区医師会のイントラネットを発展させた形でおこないました)。

 つまり、データは、サーバーにあるため、共有により、他医療機関の画像や検査データなどを、参照できるようになります。もちろん、カルテシステムもサーバーにあるため、メンテナンスも易くなります。

 実際の、使用感や、カルテの共用、システムの概要について、報告します。

図:184KBytes


15. 電子カルテの自動化とその影響
加納 滋
(加納耳鼻咽喉科医院 富山市)

 電子カルテといえど、人間が入力する限りは、キー入力操作数の増加に伴い確実に入力ミスは増えるため、その対応策は種々の方法が考案されている。

 特に薬剤に関しては各薬剤毎に入力する内容が多く、ミスが生じやすい。また、病院と異なり、診療所においては各処置および使用薬剤ごとに点数を算定するため、処置数が多くなる場合にも入力ミスが生じやすい。自動化により、ミスの減少、入力時間の短縮など、使いやすくなるが、それが逆に問題と感じることがあったので、ここに紹介する。これから電子カルテを使用する先生方の役に立つ情報となれば幸いである。

1)薬剤の処方入力
 最も単純な方法としては、医師に必要な情報を全て入力させ、最後にシステム側が間違いがあるか否かを判定し、必要に応じて警告を出す方法である。この方法では薬剤数が多くなると入力終了までに時間がかかり、ミスも発生しやすく、スムースな診療の妨害になるだけとも言える。システム側が判断の根拠を持っているのであれば、医師が薬剤を選んだ時点で、必要な情報(投与量 、投与方法など)をすぐに表示し、その確認又はさじ加減を医師が行うのが自然な考えである。また、診察回数が多くなってくると、各個人固有の投薬パターン(薬剤セット)が形成されるため、当人の過去の任意の処方が使用できるのが望ましい(各個人毎の任意の Do 処方)。
 このような考えを元に自動化を行った結果、現在では薬剤のみ選択し残りはほぼ自動化され、小児薬剤量 の計算からは解放された。しかしながら使用するにつれ、体重当たりの投与量を忘れてしまうため、システムが使えない場面 では、勘が働かなくなり、医師の確認そのものが曖昧なものになる。この意味では毎回投薬量 を手計算し入力するのは良い面もあるが、システム側が先に計算結果を表示し、それを確認する方がベターである。
 もともと薬剤毎に、上限・下限量・体重当たりの投与量が表示されるたため、最近では処方確認時に、それらの部分にも一瞬視線が動くようになってきている。

2)処置の入力
診療所においては、処置入力は、必要に応じて左右それぞれ別に算定しなければならない項目もあり、病院での入力とは異なる問題が生ずる(病院では、耳鼻咽喉科の処置・ネブライザーは殆ど全て包括されており、処置の内容に関わらず1項目のみとなる)。
 しかしながら通常数回の再診後は各個人毎に処置のパターンが固定する事が多く、いわゆる Do 処置になるため、しばらくすると入力は使用薬剤を含めて基本的に1クリックで済むことになる。
 問題は、しばらく続いた処置や使用薬剤を変更(特に処置薬剤の中止)した時であり、患者数が多くなる時間帯においては、使用中止になった薬剤の算定や・治癒した病名に対する処置を算定する可能性が大きくなる。病名が残っている(治癒になっていない)場合には、ソフトウェアでのチェックは理論的にも不可能であるため、ユーザの判断が必ず必要となる。


16. 耳鼻咽喉科診療所における電子カルテの導入
浦野正美
(新潟県)

 近年、病院、診療所への電子カルテの導入は厚生労働省が実施の目標設定を発表したこともあり、さまざまなものが検討され、一部は稼動している。しかしながら、耳鼻咽喉科診療への電子カルテの導入は、いくつかの理由で困難が予想されている。すなわち、―菽屬多岐にわたり、定型化しにくい、外来患者数が多く、コンピュータ入力をする時間的余裕がない、診療記録にシェーマを必要とすることが多く、画像所見の入力が困難である、などの点である。

 今回、演者は2002年4月に新潟市において、耳鼻咽喉科単科の診療所を開設するにあたり、BML 社製の電子カルテとスリーゼット社製の画像ファイリングシステムを統合した、新システムを導入したのでその経験を報告する。

 OS は Windows 2000 を使用した。両者は LAN で結合し、電子カルテ上で画像ファイリングが作動するようにした。画像の参照はリンク形式とし、診療中に随時、希望の記録画像が見られるようにした。

 コンピュータの配置は受付に電子カルテのサーバー1台、診察室にクライアント2台、処置室に1台の4台構成とし、画像ファイリングは診察室にサーバー1台、処置室に1台の2台構成とした。HDはミラーサーバを採用し、停電稼動システムも装備した。バックアップは毎日、MO と DVD-RAM で行っている。診察は医師が所見、投薬の入力を行い、医師の横に配置したオペレータが問診、処置、検査を医師の指示の元に入力する形式を採用した。

 電子カルテの作りこみにあたっては、まず、自分の日常の診療パターンを詳細に分析し、疾患別 、病態別、年齢別の検査、処置、処方の標準化を行った。その結果を元に診療内容のほとんどをテンプレート形式にして、電子ペンまたはマウスで入力するようにし、キーボードの使用は極力避けるようにした。シェーマ入力は鼓膜、鼻腔、咽喉頭のほとんどすべてを画像ファイリングで記録することにより、大幅に削減できた。また、電子化に対応していない、生理機能検査、X線画像などはスキャナーで画像ファイリングに取り込んだ。外注の検体検査結果 は毎朝、インターネットのメールを通じて送付されてくるものを読み込んでいる。

 導入初期にはスタッフの操作不慣れによる若干の使い込みが要求されたが、1日80人程度の外来診療ではほとんど混乱することなく運用できている。医師の読みにくい肉筆をオペレータがレセプトコンピュータに再入力するときにおきる入力ミスもない。

 患者さんには画像ファイリング提示や、電子カルテのディスプレイを見せながら日本語で治療経過を入力する説明が好評である。また、診療が終了した時点で点数計算などの会計業務が終了しているので、診療後の待ち時間はほとんどない。

 今回、使用の電子カルテは、〕縮鶺’修ない、⊃濃〃発行機能がない、細菌検査、病理検査の電子入力ができないなど、まだいくつかの問題点を抱えているが、医師が単独の診療所においては十分な導入準備と適切な運用をすれば、大変有用であると思われた。今後もさらなる発展、改良が望まれる。


17. 電子カルテがカルテとして役立つために
伊藤 久子
(耳鼻咽喉科三宅医院 尾張旭市)

 昨年の本研究会で発表したように、紙カルテ併用で市販の汎用電子カルテソフト(プロフェッショナルドクター)を診療に使用している。このソフトはレセプトその他事務処理のためには充実した内容となっていて、改定のたびに複雑となる事務にもスムーズに対応している。 紹介状作成では住所氏名生年月日などの頭書きは自動で、処方や検査結果 を参照して必要な部分のみコピー貼り付けしたりもできる。一方臨床データとくに所見に関しては、SOAPの欄が用意されていてキーボード入力するようになっている(画像貼り付けをも可能であるが利用していない)程度でレセコンの付録の感がある。

 直近の情報は紙カルテを参照したほうが前回のカルテ画面をひらくより早くてよくわかるなど、現在のところ診療時間外の入力作業に労力を費やしている割には診療の助けになる部分が多いとはいえない。その中では電話での問合せや紙カルテを取り出す余裕がないときなどには最も威力を発揮する。レセプト点検や訂正ではカルテ画面 を参照するのみですむ、所見のSとOが経過一覧として表示されるので、紹介状作成の際に参照したりアレルギー性鼻炎など季節性変動の履歴を一望することでアレルゲン検査をすすめる根拠となったり生活指導の参考資料となったりするなどは、有利な点である。

 電子カルテに入力された情報がより役立つようにするためには

などの工夫があげられる。


18. 当科における花粉症外来診療へのIT支援の試み
今村純一
(今村耳鼻咽喉科医院 松任市)

 最近、医療へもITの導入をという声が高い。ITは、狭義にはネットワーク関連の情報技術を意味することが多いようだが、元来、Information Technologyの略であるから、広義にはコンピュータを使った技術一般を指すと考えてよいだろう。 今回、タイトルには「IT支援」としたが、「コンピュータ支援」と読み替えてもらうことにして、当科における「花粉症外来診療へのコンピュータ支援」について、2点紹介する。

1.石川県における花粉症患者調査のIT化

 日耳鼻石川県地方部会では、スギおよびイネ科の花粉症患者調査を行っており、県下耳鼻咽喉科施設に対して、臨床的にスギ及びイネ科花粉症と診断した全症例について、患者年齢、性別 、受診日、発症日の統計調査への協力が要請されている。

 この患者調査のIT化として、レセコン上で受診時に会計項目と一緒に発症日登録を行い、調査期間終了時に、全症例を検索し、結果 報告用のCSVファイルを生成するシステムを開発した。

2.スギ・イネ科花粉飛散グラフ作成システム

 石川県医師会では、スギ及びイネ科の花粉飛散状況の定点観測がなされており、県医師会のHP上に最新情報がアップデートされている。(http://www.ishikawa.med.or.jp/kafun/2002/03.HTML など)

 この花粉飛散情報は、HTMLファイルのテーブルとして、各定点において毎日観測された花粉飛散個数が数値で公開されている。公開データは、各月の日々の飛散個数を観測地点間で比較するには便利だが、飛散のトレンドを見る上で、ビジュアルな面 では今ひとつであり、また前年データと比較することも直接はできない。

 そこで、各観測地点における経時的な飛散グラフを生成し、前年データと重ね合わせて表示することを考えた。

 開発したシステムでは、プログラムから県医師会花粉飛散情報ページに接続し、HTMLファイルのダウンロードを行い、新規データの有無を判断して、グラフの生成、グラフ掲載用のページへのアップロードまでを自動で行うことができる。http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/6670/pollen/sugi.htm

 以上、2点の花粉症診療に関するIT支援につき、システムの概要を報告する。


19. スギ・ヒノキ花粉飛散観測のリアルタイム情報提供
今井 透
(聖路加国際病院耳鼻咽喉科)
遠藤朝彦、野原 修
(東京慈恵会医科大耳鼻咽喉科)
深谷修司
(ゼフィール)

 スギ・ヒノキ花粉症の対策には、医療従事者も花粉症患者も花粉飛散観測結果が有用である。これまではボランティア活動を主に、落下した花粉を光学顕微鏡で観測する方法を取ってきた。しかし手間の掛かること、観測者の高齢化などで将来的な情報入手が危ぶまれている。これに対して全国的な非営利特定団体NPO花粉情報協会の設立や、環境省の支援などが始まってきている。

 最近飛散花粉の自動計測器3機種が開発された。私達は平成12年から半導体レーザを用いた自動計測器(KH-3000)で、飛散しているスギ・ヒノキ様花粉の自動計測を行い、これまでの手動観測に替われる精度と省力化が得られた。さらにリアルタイムで情報が自動的に入手されること、これまで困難だった花粉発生源での大量 飛散情報まで観測できる利点を確認した。平成14年春は医療従事者や一般の花粉症患者も活用できることを目的に、東京と神奈川の4カ所の観測データをリアルタイムにインターネットで提供した。その観測情報の有用性はアクセス数の多いことと、電子アンケート調査での回答者400名から確認された。今後観測地点が増えることにより、無理や無駄 の少ない花粉症対策の向上が期待される。

http://www.ppnet.jp/index.html
http://www.tky.3web.ne.jp/~imaitoru/


20. インターネット上の医療情報を評価する
阿部和也
(都立府中病院耳鼻咽喉科)

 インターネット上には様々な医療情報が氾濫している。情報の適不適を選別する能力のないユーザはひどく混乱しているものと考えられる。 インターネット上の医療情報を選別しようという試みは様々になされていると考えられるが、各種の試みに賛同する意見もあるものの、多くの批判が寄せられているのもまた事実である。

 この問題は2000年3月に開催された第16回耳鼻咽喉科情報処理研究会でもシンポジウム「医療ホームページの現状と問題点、将来像」として取り上げられ、活発な議論がなされたが、その後状況が好転しているとは言えない。 ここで改めて、医療者の立場から、医療情報を評価することの意味と重要性について議論したい。